家づくりのことを調べていて「C値」って出てきたんだけどなんのこと?
Q値の目安ってどれくらい?
Q値とUa値の違いって何?
そんなあなたの疑問が解決されると嬉しいです。
家づくりのことを調べていると、普段聞きなれない言葉がたくさん出てきます。
Q値?なんやそれ?F値(カメラ用語)ならわかるけど…
今回は、そんな聞きなれない言葉のなかでも、家づくりに特に重要なC値・Q値・Ua値について解説していきます。
C値とは?
C値は、住宅の気密性を表す数値です。
気密性が高い家は、隙間が少なく室内の空気が外に逃げにくく、外の空気が屋内に入りにくい家になっています。
気密性を高めることで、室内を快適な温度や湿度に保ちやすく、性能の高い家にすることができます。
C値の計算方法
C値を言語で説明すると、「家全体にどのくらいの隙間があるのか」ということ。
C値は家の隙間の合計面積(㎠)を家の延べ床面積(㎡)で割ることで算出します。
実際の家の隙間をメジャーなどで図ることは現実的に難しいので「相当隙間面積」という隙間の量を測定することで、数値を算出します。
C値=家の隙間の合計面積(㎠)÷家の延べ床面積(㎡)
家の延べ床面積に対して隙間が小さい方が、室内の温度を快適に保つことができ、「気密性が高い家」ということになります。
C値は、数字としては小さい方が優秀です。
C値が1.0よりも、C値0.5の方が気密性が高くなります。
C値ってどれくらいが目安なの?
実は、C値(気密性)には、国が決めた基準がありません(2022年現在)。
逆に、のちほど説明するUA値(外皮平均熱貫流率…ザックリ言うと断熱性)は、国が定める「省エネ基準」や「ZEH基準」で明確な数値基準が設けられています。
じゃあC値(気密性)ってあんまり重要じゃないのね?
と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。
C値が高い(気密性が悪い)と…
など様々な様々なデメリットがあります。
じゃあ、どれくらいのC値(気密性)を目安にしたらいいの?
という考えになりますが、C値の目安は一概には言えません。
もちろんC値が小さい方が気密性が高く、高性能な家になりますが、当然ながら費用も大きくなります。
高性能で有名なホームメーカーの一条工務店では、平均実測値が0.59c㎡/㎡となります。(もちろん平均値以上に良い数値の家も多いです。)
一般的にはC値が1.0以下であれば高気密と言われています。
住宅の性能にこだわりたい方は、C値0.5以下を目指しましょう。
逆に、あまり予算がなく「そこそこの性能で手を打ちたい…」という方は、C値2.0以下を目標に住宅メーカーを検討しましょう。
なんでC値2.0以下なの?
実は2009年に「省エネ法」が改訂される前は、C値(気密性)の数値基準が使われていました。
省エネ法のなかで、C値が2.0というのは寒冷地の省エネ基準値として使われており、最低限このあたりは確保しておきたいところです。
もちろん、北海道や東北地方など寒い地域の方はなるべく気密性にこだわったほうがいいです。
Q値とは
Q値は家の断熱性能を表す数値です。
後述する「UA値」も断熱性を表す数値ですが、計算方法などが微妙に違います。
Q値もUA値も、熱損失係数(熱の逃げやすさ)を数値化したもので、数字が低いほど断熱性能が良くなります。
C値もそうですけど、「数値が低いほど性能が良い」って実生活ではあまりないので若干の違和感がありますね。
テストの点数、偏差値、燃費、HDDの容量…基本的に数字が大きい方が優秀なイメージですね。
Q値=「壁、床、換気などから逃げる熱損失の合計」を延べ床面積で割ったもの
分母が大きいほどQ値は低くなるので、吹き抜けなど天井が高い建物の数値は悪くなりがち。
逆に、総二階などシンプルな構造の家だと良い数値が出やすくなっています。
そのため、以前は断熱性能の基準としてQ値が使われていましたが、2013年以降は後述するUA値が使われるようになりました。
UA値とは
UA値は、Q値と同様に「家の断熱性能を表す数値」です。
Q値もUA値も、熱損失係数(熱の逃げやすさ)を数値化したもので、数字が低いほど断熱性能が良くなります。
Q値=壁、床、換気などから逃げる熱損失の合計を「延べ床面積」で割ったものに対して、UA値は「外壁、窓、屋根など外気に触れている部分の面積」で割ったものになります。
いやいや、どう違うねん!
という方のために、Q値とUA値の違いをザックリまとめると以下の2点です。
Q値は、熱損失を延べ床面積で割ったものになるので、総二階など延べ床面積が大きい住宅ほど良い数値が出やすいという傾向にあります。
そのため、2013年から省エネ基準(ZEHなど)としてQ値ではなくUA値が採用されるようになりました。
UA値の目安はどれくらい?
じゃあUA値はどれくらいを目指せばいいの?
という方の1つの目安となるのが、ZEH(ゼッチ)基準のUA値です。
ZEHは、「ゼロ・エネルギー・ハウス」の頭文字をとった「省エネ性能の高い住宅」のことです。
「ゼッチ」と読みます!(ゼハーかと思ってました苦笑)
国は、このZEHの普及を推進しており、ZEHを新築or購入する人に補助金を交付しています。
ZEHの基準になるUA値は、地域によって異なります。
(ちなみに私の住んでいる地域は7地域でUA値0.6以下がZEH基準になります。)
なんで地域によってUA値の基準が違うの?北海道と東北の基準が高いのはなんで?
という方もいるかもしれません。
ZEHの基準では、寒さへの断熱を重視しているので、「暖かい地域はそこまでUA値は高くなくていい」と考えられています。
多くの地域では、夏のエアコン代(冷房代)よりも冬のエアコン代(暖房代)の方が高くなります。
これは空気を温める方が電力消費量が大きいからです。
「ゼロ・エネルギー」を目指すという点から、「冬のエアコン代(電力消費)」を抑えるため、寒い地域はよりハードルが高いUA値が求められています。
一応、建築中の我が家のUA値は0.53になっていて、九州のZEH基準をしっかり満たしています。
まとめ:C値・Q値・UA値について
C値やQ値、UA値は、住宅関係者ではない方にとっては聞きなれない言葉だと思います。
私も聞いたこともありませんでした…苦笑
正直なところ、C値やQ値などを知らなくても家は建ちます。
ウチの工務店に来る方のほとんどは知らないor興味がないお客さんがほとんどです。
ですが、実際に家を建てたあとに「あれ?なんか寒くない?エアコンつけてもイマイチ暖かくならない…。」となってしまう場合もあります。
もちろん、「予算の関係で家の性能にはそこまでお金をかけられない…。」という方もいると思います。
実際、ウチも住宅性能に十分なお金をかけられているというわけではありません…。
ですが、C値やUA値などの住宅性能を分かったうえで妥協点を見つけて建てた家と、住宅性能のことをよく知らずに建てた家では建てた後の満足度に差が出てきます。
家を建てたあとで後悔しないためにも、家の性能のことを知っておきましょう。
気密性能や断熱性能をどの程度確保するかは、家づくりにどれくらいお金をかけられるかによって異なります。
勘違いしてほしくないのは、「住宅の性能が低い=立てて後悔する」ということではありません。
住宅の性能について、予算との折り合いをつけて建てた家なら、多少の課題があっても納得することができます。
あと、Twitterやインスタなどではかなり高性能の家を建てるかたの報告が多いのも注意してほしいポイントの1つ。
多分私の年収の3倍以上稼がれているのではないでしょうか…。
工務店で働く私から見ても、すごい性能の家ばっかりで驚愕します…。
Twitterやインスタなどを見て「え?ウチのUA値高すぎ(悪すぎ)…?」となる必要は基本的にありません。
C値0.3以下やUA値0.3以下など、超高性能な家を建てる方はごくごく一部。
一般的にはZEH基準前後の住宅がほとんどです。
超高性能な家をつくる方は、家づくりにこだわりがある方です(さらに言うなら収入が多い方…)。
あまり比較しすぎず、自分の予算のなかでなるべく性能が高い家をつくれるよう情報を集めましょう!
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